2012年5月9日水曜日

多文化情報誌 イミグランツ -Immigrants-編集長日記 多文化共生


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「朝青龍引退に寄せて」に寄せて

大相撲の社会こそ、日本の将来の姿ではないか。日本の人口減少とそれに伴う在日外国人の増加を見るにつけ、こんなことを考えてしまいます。すでに両横綱をはじめ幕内力士の3分の1近くが外国人力士です。50年後の日本は人口が8000万人台まで減少し、このうち外国人が2000万人近くに達するという見方があります。大相撲は、すでにそれ以上に過密な多文化社会になっています。

そんな中で憎まれ役の横綱の朝青龍が引退に追い込まれました。暴力事件に絡むもので、マスコミはこぞってその言動を批判しました。そもそも朝青龍はヒール役です。世論は、国技としての相撲、横綱としての品格などを盾に批判の
矢を放ちました。

 毎日新聞の2月15日付夕刊の文化欄に、国立民族学博物館� ��小長谷有紀教授(文化人類学)による「朝青龍引退に寄せて」と題した一文が掲載されています。見出しは「ありがとうと言えない日本――ホスト社会としての未成熟示す」。共感する部分が少なくないので、読んでいない人のためにさわりを紹介してみます。

 小長谷教授は、まず外国人が少子高齢化の日本社会の重要な構成メンバーになっていると指摘します。留学生やフィリピン、インドネシアの介護福祉士、看護師候補などの在日外国人によって私たちの社会は支えられ、彼らを他者として排斥すると自分たちのシステムそのものが成り立たなくなる、というのです。実際、いわゆる3K職場、農業や水産業なども外国人の力を借りないと、産業として成立するか危ぶまれています。

 そのうえで朝青龍の� ��題に入るわけですが、「純粋に格闘技だと誤解して学びに来る人々がいなければ、次世代再生産はこれまで十分に果たせなかったのである」とモンゴルなどからの外国人力士の存在に理解を示します。大相撲は農業や水産業以上に外国人に依存した。だから相撲の人気を盛り上げ、その「重要なセクター」の役割を果たしてきた朝青龍に感謝しなければならないというのです。

 一方で、小長谷教授は、物議をかもした朝青龍の言動によって、内在化された大相撲社会にある「文化」が可視化され、「私たちは自画像を見据えることができたのだ」と断じます。それは何を意味するのかといえば、外国人力士の活躍なくしては成り立たなくなった大相撲の社会が抱える矛盾なのですが、小長谷教授は単に大相撲という特� �な社会だけでなく日本社会全体が抱えた矛盾だと言うのです。


なぜ我々はprostutionを合法化するべきではありません

 古びた伝統や慣習になじめない朝青龍へのバッシングこそ、多文化社会を迎えながらその流れも自覚できずに日本社会はもがいているのです。小長谷教授はそれを外国人をきちんと受け入れるべき「ホスト社会」に置き換え、「現代におけるホスト社会はどうあるべきか、私たち一人一人はどうふるまえばよいのか、まだまだ検討中であり、模索中なのである」と言います。あなたなら、朝青龍問題をどう考えますか。(了)
 

  1. 2010/02/19(金) 06:43:15|
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日本語学校アナリストでRJC代表の高橋伸浩さん

 留学生情報誌RJCの編集長になってほしいと頼まれ、それじゃやりましょうか、と引き受けましたが、それを要請してきたのが高橋伸浩さんです。高橋さんはTJCという主に日本語学校に向けた情報誌を一人で発刊していました。日本語学校の応援団です。

 その高橋さんが「私がブログを書くとしたら、こんな感じで」という原稿をメールで送ってくれましたので以下、あえて掲載させていただきます。第三者を装って私になりきって書いています。ちょっとおかしいかもしれませんが、中身はよくできた原稿です。

 「日本語学校」という存在をご存じだろうか。二十年前、大量の中国人が急激に来日し、様々な軋轢を生んだために、新聞、テレビなどから「出稼ぎの隠れ蓑」とレッテ� ��を張られ、いまだにその存在価値を正当に評価されずにいる外国人の受入れ教育機関である。文部科学省は「学校」要件を満たしていないとして日本語教育「施設」と呼ぶ。
 この日本語学校は、法務省が「外国人を受入れることのできる教育機関」として公認されているにすぎず、法的な存在の裏付けはない。
 だが、この日本語学校は、健全化され、入国管理局等に在籍管理や教育実績が高く評価されるようになっている。不法残留者は一時の二万人から10分の1に減少し、卒業生の七割が大学等に進学し、極めて健全化され、日本語教育を牽引しつつある。
 また、海外からの留学生募集では、そのルート、選抜方法、選抜基準等、大学や専修学校等の追随を許さない。
 この「社会から蔑視され、� ��の当らない」日本語学校を応援団として、その実態を分析し、情報とその存在意義を社会に地道に発信しつづけてきた団体がある。日本語学校アナリストの高橋伸浩氏が主宰するTJC(高橋情報センター)である。会員制の情報誌で、会員は日本語学校を中心に約150校・社。高橋氏は、08年に「多民族共生社会における日本語教育機関の役割」と題する論文を神戸大学大学院で発表している。


" niagera滝"

 高橋氏はこの論文で、日本型人材育成における日本語教育の重要性とこの日本語学校の関わりについて、社会学的、実証的に分析し、具体的に提言している。
 外国人受入れの現実的対応策、多民族共生社会に対する考え方等、当、移民情報機構と意を同じくするところが多く、連携することとしました。それにともない、このTJCは2010年より、移民情報機構RJC(留学生情報センター)と改称しました。私も編集長としてその活動を応援しています。その一端は、下記ブログにて公開しています。是非、一度ご覧ください。
 

 また、加入申し込み及び問い合わせは、rjc-johbr/> 現在、試読キャンペーン中で、登録すれば、3月末まで無料で購読できます。(了)

  1. 2010/02/08(月) 23:49:26|
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RJC編集長としてご挨拶


 多文化情報誌イミグランツ編集長というのが、私のメーンの肩書ですが、もう一つ編集長の肩書ができました。「RJC編集長」。「RJC」は、「留学生情報センター」の音読みをアルファベット化したものです。日本語学校をはじめ、大学、専門学校を対象にした会員制の専門情報誌です。内容はもちろん「留学生情報」です。留学生のためではなく、留学生を受け入れる機関のための「情報」です。

 昨年の入管法改正で「留学生」と「就学生」の在留資格が「留学生」に一本化されました。福田内閣時代にできた「留学生30万人計画」は鳩山内閣にも引き継がれ、留学生の受け入れの拡大は「国策」になっています。

 そうした中で日本語学校(入管法改正前は外国か らの「就学生」が入学)を対象に情報誌(TJC情報)発刊していた友人の高橋伸浩さんに、「留就が一本化」されるのだから、TJCをRJCに変えては、と提案したのが縁で、「それじゃ石原さん、手伝って」と言われて編集長を引き受けたわけです。「TJC」の「T」は、高橋さんの「T]。

 RJCはメールで随時、会員に情報を送信するほか、メール版をまとめ、月に1回冊子として送付するサービスです。この種の情報に通じている人は極めて少なく、高橋さんはこの道の唯一のプロと言っていいと思います。TJCは、他の追随を許さない「日本語学校情報誌」だったのです。そこに私の「多文化情報」を加え、バリエーションのある情報誌にしよう、というのです。

 日本語学校という のは、文字通り日本語を知らない外国人に日本語を教えるわけですが、学校教育法できちんと位置付けられた教育機関ではありません。でも、留学生などは日本語学校でまず日本語を習得して大学や大学院に行くのです。数からいえば中国人や韓国人の生徒が多いのですが、日本の国際化の玄関口と言うことができるでしょう。


ナイアガラの滝地質

 「RJC」はもちろん有料の情報誌ですが、編集長の権限を駆使して、たまにはその内容の一部をこのブログで紹介したみたいと思います。日本語学校がどんなところか、を知るだけでも日本の国際化の流れの一端を知ることができるでしょう。イミグランツと関連する部分もあります。ご期待ください。(了)

  1. 2010/02/07(日) 07:22:40|
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「My Eyes Tokyo」を読んで

近くの図書館で何気なく書棚から取り出した「My Eyes Tokyo(マイ・アイズ・トウキョウ)」(幻冬舎ルネッサンス)。暇つぶしにちょうどいいかな、と借りて読んでみると、実はこれが大変な本でした。年が明けたばかりですが、今年読んだ本の中では最高の1冊と言えます。

著者の徳橋功さんはロサンゼルスで日本語テレビ局に勤務を経て、「現在は東京で衛星放送のニュースに携わる」(本の著者紹介)そうです。中身は「My Eyes Tokyo」というインタビューウエブサイト(www.myeyestokyo.com)書籍化したといいます。安易な本づくりにみえますが、出版するだけの中身があったということです。

この本は、外国人たちに東京や日本の姿を思う存分語ってもらったインタビュー集。日本茶カフェの店主(フランス)、多国籍劇団座長(イギリス)、アフリカンパーカショニスト(セネガル)、ミュージシャン(日本・フランス)、手打ちそば職人(アルジェリア)、落語パフォーマー(トルコ)、イスラエル料理店マネジャー(イスラエル)、シンガーソングライター(アメリカ)、英会話講師(アメリカ)、フォルクローレシンガー(ボリビア)、フードバンク創設者(アメリカ)の計11人が登場します。

一人ひとりを紹介するつもりは� �りませんので、それぞれの人物像は肩書から想像してもらうしかありませんが、外国人の目に映った東京、そして日本、さらには日本人像が、実に新鮮です。またそれぞれの問題意識や感性がロングランのインタビューの中で生き生きと描かれています。私たちに発する様々なメッセージは、同時に筆者のメッセージでもあると思います。

私が発刊する「多文化情報誌イミグランツ」でも、「My Eyes Tokyo」のような、人間の持つ多様性とその魅力を味あわせてくれるインタビュー記事を掲載できれば……。(了)


  1. 2010/01/14(木) 00:11:17|
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外国人の家探し助けます

1月5日付の毎日新聞夕刊社会面に在日外国人情報センター(東京・高田馬場)などが取り組む在日外国人向けの家賃保証サービスの話題がトップ記事として掲載されました。その見出しが「外国人の家探し助けます」です。さらに「家賃保証団体を設立」「NPO首都圏の1都3県対象」という見出しもついています。

これは、外国人が家賃の滞納などをした場合、家主さんにその保証をするシステムを作ることで外国人に対する貸し渋りをなくそうというものです。併せて家を借りる外国人に日本で暮らすためのごみ出しなどのルールを教える、としています。そうした業務に取り組む一般社団法人が近く発足する、と毎日新聞は報じています。

在日外国人情報センター代表で、このプロジェクトの仕掛け� �の小池昌さんから「新聞掲載」を知らせるメールをもらい、「以前、聞いたあの件か」、と小池さから聞いた話が頭に浮かんできました。その時もなかなか素晴らしいアイデアだと思いました。こうした取り組みによって、外国人の住居に関する問題が少しでも解消されれば、多文化共生の社会づくりにもいい影響を与えてくれそうです。

 小池さんから続いてこんなメールが送られてきました。
*****
先ほどの記事の件、2chにもスレが立ってました

叩かれてます。ハ・ハ・ハ〜。

因みに、自称右翼からも電話が入ってきてまして、本日は暇つぶしに事欠かない
状況です。
*****
 この種の問題で2chにスレが立つということは、何らかのいちゃもんをつけたい人がいると考えるのが自然です。外国人を支援することにいら立つ人は、恐らく外国人とのかかわりで嫌な体験をしたのでしょう。しかし、困っている外国人を支援することをケシカランという理屈はなかなか立ちません。「理」がない批判は批判になりません。2chもすぐに下火になったようです。

 それにしても、新聞に掲載されてすぐにリアクションがあったこと自体は歓迎すべきことだと思います。残念ながら「イミグランツ」はまだまだ知名度が低く、批判にさらされることもありません。喜んでいいのか悲しんでいいのか。(了)



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